DevOpsスタートアップの創設者が語るOSSコミュニティーから10億ドル企業になるまで

JFrogはソフトウェア開発をより簡単で、より高速化し、またその開発費を削減できると主張しています。この基礎と背景を理解するためにEFYグループ編集ディレクターのラフル・チョプラ氏がJFrogの共同創立者でチーフアーキテクトのフレッド・サイモンにインタビューを行いました。

Q. JFrogのソリューションを経営層にはどのように説明しますか?

A. 良い質問ですね。私たちは開発者のためにツールとソリューションを作る、開発者を中心とした会社であり続けてきました。もともと私たちはJavaエンジニアのチームで、J2EE(今のJava EE)移行中に、あるパッケージ管理の問題を解決する業務に取り組んでいた時、技術的に極めて高度であった為、エンジニア以外の方々には説明が非常に困難でしたが現在は以前ほどでは無くなってきています。

世界的にクラウドネイティブのアプリケーションをデフォルトとする動きがある中で、現在では全ての企業がソフトウェア企業となっています。ソフトウェアの管理と提供は今や最重要事項となっています。私たちはこうした産業の成熟により、ソフトウェアが単なるソフトウェアだけではなく、経営レベルの問題となっていることを理解しています。したがって、提案は非常にシンプルなものになりました。より高速で、よりスマートで、より安全なソフトウェアがビジネスで求められているのです。

また、私たちが好む言い方をすれば「ソフトウェアを早期にリリースしなければ死が待っている」という状況になっています。競争は熾烈です。そこでエンドユーザには停止時間がなく、より高速かつスマートに価値を提供できる、いわゆる「リキッドソフトウェア」が競争上、優位に立っています。JFrogはDevOps組織として、これらの目標をより迅速に達成できるよう支援します。

Q. CTOのような上級技術者に説明する場合、この説明はどのように変わりますか?

A.このレベルでは説明はさらにシンプルです。これまでのソフトウェアのリリースは四半期や一年に一度またはそれ以下の頻度でした。このニーズはクラウド、マイクロサービス、アジリティへの動きによって変貌しています。私たちは新しいバージョンを迅速に公開し、バージョンが検証されたポイントと、どうやってランタイムを実装したのかをできるだけ迅速にコントロールできるようにしています。

私たちはこれを10年間以上に渡り、大規模に続けてきました。当初は顧客はギガバイト単位のデータを管理していましたが、これは後にテラバイトとなり、今日では1日当たり数十、何百ものビルドでペタバイトのバイナリソフトウェアを作成する顧客がいます。

Q.「コントロール」という言葉が出てきました。しかし、多くの開発者はコントロールを好みません。JFrogはこの提案をどのように説明しますか?

A. 「コントロール」は開発者の耳に押しつけのように感じることがあります。それは「他の人から」のコントロールです。しかし、JFrogの開発者のルーツはスピードとアジリティを開発者に提供し、彼らの開発スピードを犠牲にすることなく、彼らの環境を可能な限りコントロールできるようにしています。

Q. 企業内の発展の中心となってきたのはDevOpsを採用した開発者であるというお話でした。そしてCTO、CEOへと進んで決定が行われているのですか? 現在もこのような仕組みですか?

A. その通りです。JFrogはインサイドセールスのみで自分たちから売り込むことは今までありませんでした。最初の商談はJFrogツールのプロフェッショナル向けバージョンが必要であると、ある会社の開発者から依頼を受けたことから始まりました。その後、私たちはマネージャーや上層部とのディスカッションを始めました。RedMonkの友人が言ったように、開発者は意思決定において力を持っている存在です。

Q. ウェブサイト上で何度も言及された用語「リキッドソフトウェア」について説明していただけますか?

A. リキッドソフトウェアの概念はダウンタイムゼロでソフトウェアのすべての部分を連続的かつ安全でシームレスに更新できる仕組みです。これは毎年ビルドやパッケージをバージョンアップする従来の概念とは大きく異なります。これまでの方法では規模を大きくすることに対応できません。リキッドソフトウェアの新しい世界ではコーディングからソフトウェアが配信されるデバイスまでシームレスに更新作業が行われます。

Q. 「Everything-as-a-Service(すべてをサービスとして提供)」へのシフトは、リキッドソフトウェアの概念を推進する中心的な存在になるということでしょうか?

A. その通りです。人々はサービスとしてソフトウェアを作っているわけではなく、サービスそのものを提供しているのです。私たちのリキッドソフトウェア・パイプラインの提供プロセスはあらゆる場面において当てはまります。「as-a-Service」とはクラウド向けだけではなくソフトウェアを提供するすべてのスタンダードであるということは重要なポイントです。

Q. JFrogはオープンソースとの関係を維持しながらエンタープライズ向けの有料バージョンにどのようにシフトしているのですか?JFrogのライセンスモデルはどのようなものですか?

A. 私たちはAGPLライセンスを採用しています。このライセンスによるオープンソースの無償バージョンは多くのJava関連の作業を行うことができるので、開発者に出発点として採用されることがよくあります。また、Conanフレームワークを利用するC/C++開発者向けのバージョンもあります。ほとんどの開発プロジェクトでは複数の種類の開発を行うため、私たちの商用バージョン(Pro版のサブスクリプション)は汎用的なパッケージタイプをすべてサポートしています。それをベースとしてHA(高可用性)、セキュリティ、コンプライアンスツール、ディストリビューション等を含んだプランも用意されています。

さらに私たちはJFrog Pipelinesを最近追加し、組織全体のパイプラインを完全に自動化できるようになりました。これによって最も顧客に合ったプランを選べます。DevOpsやDevSecOpsインフラストラクチャーが成熟するとともに、JFrog製品も顧客のニーズにあわせて規模の拡大が可能です。

Q. Web、モバイル、IoTの開発者向けに異なるソフトウェアを選択する必要がありますか?

A. いいえ、JFrog製品はユニバーサルなため、別のソフトウェアを新たにインストールする必要はありません。したがって、Ruby、Python、Docker、Debian、Microsoftの開発環境 、NuGetのどれを使用していてもすべて単一のツールで利用できます。Pipelinesは各組織ごとに非常に大きく異なるため、全てサポートする必要があります。

Q. IoTのために開発された特別なソリューションや拡張機能はありますか?

A.
 はい、私たちは極めて早い時期から顧客とIoTに取り組んできました。私たちはIoTに固有のソリューションをIoT向けDebian拡張機能として提供してきました。加えてConanとYoctoもあります。ソフトウェアを素早く提供することはIoT開発環境の初期段階では重要です。したがって私たちはJFrogプラットフォームでさまざまな技術をサポートし、IoT開発環境に最適なツールを提供しています。

Q. インドはJFrogの開発とサポート両方の中心として、またJFrogの市場としてどれくらい重要ですか?

A. JFrogは3年以上前にインドで最初のオフィスを開設しました。インドの開発チームはJFrog InsightとJFrog Mission Control(パイプライン用ツールとパフォーマンスの可視化を提供します)を扱っています。今年の初めにShippableを買収した際に研究開発チームが合流し、このチームがJFrog Pipelinesを開発しました。このチームもインドに拠点があります。したがって、インドは研究開発とサポート両方の観点から、ますます重要性が高まっています。

シニアテクニカルサポートスタッフの多くがインドに在籍し、最先端テクノロジーのサポートに対応できるようにJFrogでは本当に優れた開発者を必要としています。私たちは既にバンガロールで60人の従業員を雇用し、最近ではゼネラルマネージャーを任命しました。ご存じのようにJFrogは今や500人以上の会社です。さらに私たちはインドの顧客に対してDevOps革命を進めるため、マーケティングと営業チームをインドで育成しています。

Q. その顧客とはグローバル企業のインド支社ですか?それともインドの国内企業が対象ですか?

A. 両方です。インドにR&D部門を持つグローバル企業が当初の顧客でしたが、最近ではインド全域にある国内企業も直接の顧客になっています。

Q. 最後にサイモンさんご自身の経歴についてお伺いします。どのようにオープンソースの世界とつながりを持ちましたか?

A. 大学に在学していた1992年、私はMosaicを使うことを趣味としていました。またオープンソースのウェブスタックを使用してWebサーバを作成していました。見事なくらいオタクでしたが、これをきっかけに私は黎明期のオープンソースコミュニティに足を踏み入れたのです。私は小さい頃からよくプログラムを作っていましたが、まず最初にプログラミングを学習したのがオープンソースソフトウェアでした。

オープンソースソフトウェアが革新的なソフトウェアを作成する今後のスタンダードであることは間違いありません。私もJFrogも開発者コミュニティ全体を支援して貢献を続けていきます。オープンソースソフトウェアとコミュニティが未来を創り出していくことを私は楽しみにしています。